マッチングアプリや出会い系――いわゆるネットを使った出会いも今ではすっかり身近になってきましたよね。実際に恋愛へと発展し、深い関係を築ける人もいれば、やり取りは順調に始まったのにいつの間にか自然消滅してしまうケースも少なくありません。
私自身、最終的にはマッチングアプリを通じて結婚に至りましたが、それまでの間には長く続くご縁もあれば、そうならなかった出会いも数多く経験しました。そこには必ず何らかの理由や背景があると感じています。
そこで、今回はなかなか長続きせずにモヤモヤしている方に向けて、私なりの経験や考えをもとに「長期的関係を築くためのコツ」をお話ししていこうと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。
ネットでの出会いがフェードアウトしやすい理由|職場恋愛との違い
昔に比べて職場恋愛をする人は減ったように思います。背景には職場での恋愛を避けたいと割り切る人が増えていることや、なにかとハラスメントにつながりやすいと感じる人が多いこともあるでしょう。だからこそ、ネットでの出会いがこれほど大きな存在感を持つようになったのだと思います。
私の感覚ですが、職場恋愛の場合、いきなり恋人になるケースは少ないのではないでしょうか。多くは「同僚 → 友だち → 恋人」というように、時間をかけて相手の人となりを知った上で成立する関係です。仮に、その関係が終わったとしても「恋人 → 同僚」に戻ることは比較的あります。立場にもよりますが、仕事を辞めて距離を取る選択ができる人は限られているでしょう。
一方で、ネットでの出会い(特にマッチングアプリ)は最初から「恋人が欲しい」というゴールが明確です。そこを目指して関係を築くわけですが、この考えに基づいて発想を逆転すると「恋人にならない関係なら必要がない」ということになります。もちろん、中には友だちを作る目的でアプリを使う人もいますが、多くは将来を見据えた交際や自分だけの特別な相手を探しています。
この前提に立つと、目標に届かないと感じた時点でネットでの出会いはフェードアウトしやすい環境になっていると言えます。職場のように顔を合わせる場があるわけでもなく、友だち関係があるわけでもないため、気まずさを感じる必要がありません。その結果、あっさりとフェードアウトして次を探すという行動に移りやすいのだと思います。
“短期を大切に”が長期関係への近道
では、長期的な関係を築くためにはどのようなマインドを持っておくべきでしょうか。私が思うのは「短期を大事にコツコツと」という姿勢です。
これは誰にでも当てはまる話ですが、最初から長期の関係を作れる人はいません。私自身も実際に結婚するほどの付き合いになるとは最初は思っていませんでした。ただ、その反面、一緒にいる時間をひとつひとつ大切に過ごしたという自負はあります。
初めて会ったときは初めての会話を大切にし、2回目に会うときは初回から数歩先のやり取りをし、3回目はお互いの知らなかったことを話せる間柄にする。そんなふうに時間をかけて自分を知ってもらい、相手のことを知るという積み重ねがやがて長期的な関係へと変化していくのだと思います。
もちろん「お互いを知っていく」という一見シンプルなことは、実はすれ違いが起こりやすい場面でもあります。価値観、道徳心、倫理観、人間力――さまざまなものが試されていくからです。
では、それらがすべて似ていなければ難しいのでしょうか。私はそうは思いません。大切なのは「尊重と共感」そして「自分自身を俯瞰して見る力」だと考えます。
自分に意思があるように相手にも意思があります。これは人間関係全般に言えることですが、自分の考えばかりを押し通し、相手の気持ちを思いやれない人よりも、何事にも柔軟に対応できる人のほうが関係は充実します。私が知る限り、そういう人は常に自分を俯瞰して見ています。それは男女関係でも同じことです。
私と妻も意見が合わないことは多々あります。感性は人それぞれ違うものですから。ですが、私は自分の意見を一歩引いて考え、妻の言い分も聞き、その意味を考える。そして妻もそこに向き合ってくれる。どちらか一方が努力するのではなく、お互いが歩み寄ることで簡単には崩れない関係を続けられているのだと思います。
心地よい距離感の模索と維持|数値でイメージするバランス感覚
これまでに挙げた「尊重と共感」「俯瞰する力」に加えて、私が大切だと思うのが「距離感」です。
カップルになりたての男女を想像してみてください。付き合い始めはベタベタと甘え合い、お互いの好きなところを語り合う。第三者から見れば少し胸やけしそうな光景かもしれません(笑)
ここで少し現実的な問いを投げかけます。「3年後、5年後も同じようにしていられますか?」。おそらく、大半の人はそこまで先のことを想像しながら今を過ごしてはいないでしょう。もちろん私はそんなベタベタ期があってもいいと思います。ただ、同時に3年後には3年なり、5年後には5年なりの距離感が必要だとも感じます。
時間が経てば、最初は見えなかった部分が見えてきて衝突することもあるでしょう。そこで関係が破綻してしまうカップルも少なくありません。
私が思うに、他者と長く一緒にいるためには心地よい距離感を常に維持することが重要です。近づきすぎてしまったら俯瞰して一歩下がる。逆に遠くなりすぎてしまったら一歩前に出て歩み寄る。この調整が欠かせません。
数値でイメージしてみましょう。2人の心地よい距離感を「5」とした場合、3+2のときもあれば、1+4のときがあってもいい。6-1でも7-2でも構いません。重要なのは足しても引いても他の数字になることなく、結果が「5」になることです。それが心地よい距離感の維持だと思います。
どちらがプラスに動き、どちらがマイナスに動くか。それは2人の「尊重と共感」そして模索の中で決まっていくものです。そんなふうにバランスを取りながら関係を続けられたら、きっと長く心地よくいられるはずです。
信頼関係を深める鍵は“弱さ”の共有
少し話が逸れましたが、改めてアプリでの長期的な関係について考えてみましょう。その土台として欠かせないのが「信頼関係」です。
皆さんは信頼関係を築くうえで何が重要だと考えますか。「嘘をつかない」「金銭トラブルを起こさない」「常に誠実でいる」――おそらく多くの人がこうした要素を思い浮かべるのではないでしょうか。
私が重視しているのは少し角度の違う視点です。それは自分自身の弱さやネガティブな面を見せ合うこと。これが信頼関係を深めるうえで大きな強みになると感じています。
男女問わず、多くの人は「弱いところなんて見せられない」「かっこ悪い」と思いがちです。しかし、パーフェクトな人間など存在しません。誰もがネガティブな側面やコンプレックスを抱えています。それを話すかどうか――私はこの一見マイナスに見える部分を相手に打ち明けられることこそが強さだと思っています。
そして、それを受け止められる人からのメッセージは「どんなあなたでも一緒にいたい」という心強い想いにほかなりません。もちろん笑顔で楽しい話をしているときのほうがその瞬間は心地よいでしょう。ですが、相手の弱さを受け止め、親身になる時間もまた絆を深める大切な時間になるはずです。
恋人であり、誰よりも頼れる家族のような温かさを持ち、ときに笑い飛ばしてくれる友だちのような明るさも併せ持つ――そんな存在になれたなら、自然と「信頼関係の深い絆で結ばれている」と言えるのではないでしょうか。
あなたらしい距離感と絆で育てる関係
いかがだったでしょうか。
対人関係において絶対的な正解はありません。何か特別なことをすれば長期的な関係が築けるほど、人は単純にはできていないですよね。この記事を書きながら、改めて「人間って難しいな」と感じる自分がいます(笑)
私の考えや価値観に共感してくれる人もいれば、異なる視点で読む人もいるでしょう。ただ、あなたの強さや弱さ、考え方や価値観――それらすべてを含めて“らしさ”が形づくられています。お互いの“らしさ”をポジティブな面もネガティブな面も見せ合えることが長期的な関係の構築につながると私は思います。
以前の記事でも触れましたが、他者を受け入れ、知っていくことは面倒で手間がかかり、エネルギーを使うものです。その一方で、きれい事抜きに人は誰かと共存することで幸せを感じる生き物でもあります。
もし、この記事を読んで考え方や出会いに向き合う姿勢を少しでも変えてみようと思ってくれる人がいたら、あるいは自分自身を見直すきっかけになったとしたら、それ以上に嬉しいことはありません。